版汚れ(地よごれ)

ユポは一般紙に比べて版汚れ(地汚れ)に対して不利な要素を持っています。

  • ユポは非吸収性素材であり湿し水を吸収しません。(FGS、FRB[G]、FEB[G]などほとんどのユポが該当します)
  • FRB(G)、FEB(G)を除き多くのグレードはコート紙に比べ、インキ受理性が劣る傾向があります。
  • ユポ用インキ、UVインキは乳化しやすいインキです。特にベニやアカ系特色、耐光性ベニはこの傾向が強く、版汚れしやすいので湿し水を絞るようにしてください。

このため、条件調整や刷り出しから版汚れしたり、停止後の再スタートで突然版汚れするなどのトラブルが散見されます。
主な原因は、

  • インキの盛り過ぎ(過大な印刷濃度要求)
  • 湿し水の過剰供給

このどちらか、あるいは2つの相乗効果です。(ローラーニップの偏りやグレージングなどがなく、ローラー表面が正常に管理されている前提です)

(1)条件調整や刷り出しで汚れだす場合
《原因》最初の湿し水供給が多過ぎてインキが過剰に乳化している。これによってインキ顔料が湿し水に溶出して非画線部で「浮き汚れ」を起こした。

対策

  • 版面とインキローラーを洗浄して乳化しているインキを除去し、インキ壺からフレッシュなインキを下ろして印刷する。
  • 湿し水供給を大幅に絞り、咥えエッジがやや汚れる程度でスタートする。
(2)停止後の再スタートで突然汚れが発生する場合
《原因》インキ供給と湿し水供給共に過剰状態でバランスしていたため連続印刷中は正常に印刷できていたが、停止時にバランスが崩れ版面へのインキ過剰が起きて汚れとなった。

対策

  • インキ量を下げる方向でインキと湿し水の供給を再調整してください。
  • どうしても汚れる場合は版面にガム引きし親水性保護を行ってください。
  • 感脂化したスポットを「消去ペン」で処理した場合は消去液を完全に拭き取り、水洗いしたあとでガム保護を行ってください。
  • 版汚れが起きやすい場合は、給湿液を「ガム入り 給湿液」に変更するか湿し水にアラビアガムを0.1%(20cc/20L)添加してください。