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「水性フレキソ印刷」を推奨印刷方式として運用開始

~環境に優しい「合成紙ユポ」×「水性フレキソ印刷」で新市場の開拓へ~

2020年10月15日

株式会社ユポ・コーポレーション(代表取締役社長 渡邉 真士、本社:東京都千代田区神田駿河台、以下「当社」)は、このほど合成紙ユポ(以下ユポ)の一部製品において水性フレキソ印刷の適正があることを確認しました。これまで実績がなかったことから同印刷方式を推奨していませんでしたが印刷会社様及びインキメーカー様の検証により、優れた印刷適性があると確証しました。今後は同印刷方式を推奨とした運用を行ってまいります。

水性フレキソ印刷でのユポ想定用途(写真はイメージです)

水性フレキソ印刷の技術的な進歩や市場拡大を受け、印刷会社様及びインキメーカー様ご協力のもと、印刷品質を検証した結果、ユポの一部製品において、水性フレキソ印刷に対し、優れた印刷適性があることを当社は確認しました。検証では、ユポ独自の表面処理技術により、水性フレキソ印刷においてユポが高いインキ密着性を保持することが確認され、一般的なプラスチックフィルムに必須とされる印刷前の「コロナ放電処理」が不要となることも確認されました。これらの点より、検証して頂いた印刷会社様から「一般的なOPPフィルムよりも水性フレキソ印刷で安定した印刷が施せる基材である」とご評価をいただきました。

水性フレキソ印刷は、凸部にインキを付着させ、基材に印刷する凸版印刷の一種です。少ないインキ量で濃度も出せることから、揮発性有機化合物(VOC)やCO2発生も抑えられ、環境に優しい印刷方式と言われています。近年国内においては飲料ラベルや包装資材分野での採用が進んでおり、また北米やヨーロッパでも軟包装材(パッケージ)印刷市場での主流となっています。水性フレキソ印刷は、今後ESG投資やSDGsなどの環境を意識した取り組みが活発になるなか、さらなる市場の伸長が予想されています。

世界トップクラス、また国内合成紙業界でトップシェアを持つ素材であるユポが水性フレキソ印刷にも対応し、食品や飲料パッケージなどの軟包装材に用途を広げることで、当社は、水性フレキソ印刷とユポの環境配慮性、食品安全衛生性、機能性を組み合わせた「新たなラベル・パッケージ」の実現に貢献してまいります。

1.対応製品

  • ユポグリーン®シリーズ アクアユポ® (型番:LARG 65、95)

    コート紙並みの印刷再現性と光沢感ある仕上がりになります。裏面に吸水性があり水系接着剤を使用できます。
    グルー・ディレードラベルとして容器に貼られたラベルはきれいに剥がせるため分別やリサイクルに役立ちます。

  • ユポ®イッパン (型番:FPG 60、80、95、110、130、150、200、250、300)

    表裏差がなく厚みバリエーションも豊富な、ロール対応の標準グレードです。マットで高級感ある仕上がりになります。

  • ユポ®インモールドラベル (型番:ISF 105)

    裏面にヒートシール機能がある製品です。印刷のみでインモールドラベルの作成が可能で、マットな仕上がりです。
    製袋分野にも使用可能な接着強度を有します。

  • 適性製品・グレードにつきましては、当社までお問い合わせください。

2.想定用途

  • 飲料用ラベル(ソフトドリンク、アルコール)・食品パッケージ(お菓子、冷食用袋等)など

3.検証にご協力いただいた株式会社金羊社様のインタビュー

今回検証にご協力いただいた印刷会社の株式会社金羊社様をご紹介します。金羊社様は、食品包装やラベルの水性フレキソ印刷化による環境負荷低減にいち早く着目され、15年以上前から事業参入に向けた取り組みを始められました。インタビューページでは、水性フレキソ印刷におけるユポの優位性や今後の展開等をご回答いただいています。ぜひご覧ください。

水性フレキソ印刷適性の検証結果について

ユポは、水性フレキソ印刷において優れたインキ密着性・転移性があることが確認されました。

水性フレキソ印刷でのテストサンプル例

  1. 1.優れたインキ転移性。
    • サカタインクス株式会社様 表刷り用水性フレキソインキ「フレキソエコピュア」使用
    • 印刷物写真と5%網点再現写真(50倍拡大)を掲載

    LARG 65

  2. 2.インキ密着・耐摩擦性能
    • 基材破壊:基材表層が壊れるほど、ユポとインキの密着が良好なことを示しています。

水性フレキソ印刷を活用した用途イメージについて

水性フレキソ印刷とユポの環境配慮性、安全性、機能性を組み合わせた「新たなラベル・パッケージ」への展開を想定しています。

想定用途①:ラミネート不要で資源省力化、工程削減に貢献できるエコ袋

一般的なOPPフィルム単体では製袋性能に乏しく、印刷後にヒートシール性能を持つフィルムを貼合し製袋工程に進みます。独自の接着層で高いヒートシール強度を持つ、インモールドラベル用途で採用実績が豊富なユポグレードであれば、印刷後、製袋工程のみで袋が作成可能です。
ユポを使用することにより、フィルム貼り合わせ加工時に必要な接着剤やフィルムが不要でトータルコスト・リードタイムの削減の可能性があり、環境負荷低減にも貢献ができます。加えて水性フレキソ印刷を採用することにより、一層のCO2やVOC排出削減提案が可能となります。

食品パッケージ※1

想定用途②:ソフトドリンク飲料ボトル・缶の胴巻きラベル

一般的なフィルムは透明のため、飲料自体の色がラベルデザインに影響を及ぼさないよう、ラベル作成時に白インキでベースを印刷する必要があります。白インキよりも高い隠蔽性を持つユポを使用することで、飲料の色に影響を受けない美麗なラベルが作成できます。白インキが不要になり、印刷時におけるコスト低減、VOC排出を抑えることができます。また、特にPETボトル飲料において、ユポのミクロボイド構造を活かした中身飲料の温度が逃げにくい「保温・保冷ラベル」の作成が可能です。

飲料ボトル胴巻きラベル※1
  1. ※1写真はイメージです。

(参考)ユポのパッケージ分野の用途実績について

ユポの基本性能である耐水性や耐久性、印刷適性や白色・不透明性に加え、保温・断熱性、グルーラベル適性、透湿性などの様々な機能を活かし、インモールドラベルや冷凍・冷蔵食品の包装資材、飲料ボトルの胴巻きラベル(ラップラウンドラベル)に採用されています。パッケージ分野の用途例についてこちらをご覧ください。

水性フレキソ印刷対応製品の概要

製品名 ユポ®イッパン ユポ®インモールドラベル ユポグリーン®シリーズ
アクアユポ®
型番 FPG 60~300 ISF 105 LARG 65、95
厚み 60µm~300µm 107µm 65µm、95µm
特徴 表裏差がなく厚みバリエーションも豊富な、ロール対応の標準グレードです。
マットで高級感ある仕上がりになります。
裏面にヒートシール機能がある製品です。
印刷のみでインモールドラベルの作成が可能で、マットな仕上がりです。製袋分野にも使用可能な接着強度を有します。
コート紙並みの印刷再現性と光沢感ある仕上がりになります。
裏面に吸水性があり水系接着剤を使用できます。グルー・ディレードラベルは容器からきれいに剥がせるため分別やリサイクルに役立ちます。
(バイオマス樹脂配合製品)
用途 包装紙・掛け紙などのパッケージなど 食品容器の蓋ラベルや各種ブローボトル用ラベル、食品袋に最適 水糊を使用するグルーラベル用途に最適
テスト
サンプル
「A4サイズ」を準備しております。
印刷テスト用「ロールサンプル」も準備しておりますので、ご要望の場合はお問合せ下さい。

ユポの環境対応について

  1. 1.ユポは独自の製法により、発生させたミクロボイド※1による軽量化を実現しています。一般的なPETフィルム(50μm)に比べ約55%、一般的なPPフィルム(50μm)に比べ約25%のプラスチック使用量※2及びCO2排出量※3が削減できます。
  2. 2.当社は環境省が実施している海洋プラスチック問題の解決に向けてのキャンペーン「プラスチック・スマート」に参加しています。
  1. ※1ユポの表面及び内部に付与されている多数の微細な空孔
  2. ※2プラスチック使用量を以下の条件から当社試算
    • ユポFPG60:当社配合から算出
    • PETフィルム, PPフィルム:各々密度を1.4, 0.9g/cm3とし算出
  3. ※3原料ベースでのCO2排出量を以下のデータを使用して当社試算
    • 「カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム基本データベースver.1.01(国内データ)」等のデータから算出

ユポの製品安全性の管理について

  1. 1.規制改正の動向把握に努め、規制対象化学物質の変更が明らかになった場合には、改正後の規制に対する製品の適合状況を確認し、必要に応じて対策をおこなうことにより、製品安全性の維持・管理を図っています。
    2020年6月1日施行の改正食品衛生法へも対策を行っており、今回紹介のLARGは全原料がポジティブリスト(PL)※1に収載、ISF、FPGは一部原料がPL未収載の状況ですが「経過措置」※2の対象であるという観点からいずれも法適合した製品となっております。なお、PL未収載の原料につきましては、PL収載に向けた対応を取り進め中です。
  1. ※1厚生労働省より2020年4月28日に公布された、改正後の食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の別表第一。
  2. ※2改正食品衛生法の施行日より前に製造又は輸入等されている器具・容器包装と同様のものを、同施行日から5年を経過する日(2025年5月31日)までの間に販売の用に供するために製造又は輸入する場合には、当該器具・容器包装の原材料に含まれる物質はポジティブリストに収載されているものとみなす措置。

本件に関するお問い合わせ

ユポ・コーポレーション 営業本部 営業部 営業1グループ

  • 「ユポ」「アクアユポ」「ユポグリーン」は株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。