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ユポ×水性フレキソ印刷の適性を検証いただいた株式会社金羊社様へのインタビューご紹介

2020年10月15日

株式会社ユポ・コーポレーション(代表取締役社長 渡邉 真士、本社:東京都千代田区神田駿河台、以下「当社」)は、10月15日付のリリースでご案内のとおり、このほど合成紙ユポ(以下ユポ)の一部製品において水性フレキソ印刷の適性があることを確認しました。これまで実績がなかったことから同印刷方式を推奨していませんでしたが、印刷会社様及びインキメーカー様の検証により、優れた印刷適性があると確証しました。今後は同印刷方式を推奨とした運用を行ってまいります。

そこでこの度、ユポの水性フレキソ印刷適性を検証いただいた金羊社様のフレキシブルパッケージング事業部 執行役員 事業部責任者 國﨑 守男様にお話をうかがいました。

株式会社金羊社

フレキシブルパッケージング事業部

執行役員 國﨑 守男 様

(所属部署・役職はインタビュー当時のものです)

株式会社金羊社様のご紹介

株式会社金羊社様は、創業90年以上の歴史と実績を持つ総合印刷会社であり、音楽・映像・ゲーム関連のメディアパッケージ印刷の国内トップシェアを誇ります。また、食品包装やラベルの水性フレキソ印刷化による環境負荷低減にいち早く着目、15年以上前から事業参入に向けた取り組みを始め、2014年には水性フレキソ印刷をメインとした宇都宮工場(栃木県)の稼働、そのラミネート加工を担う大口工場(愛知県)の稼働を開始、2018年には食品マネジメントシステムであるISO 22000を両工場で取得されました。現在では食品パッケージや、飲料用ラベルなどの印刷・加工も豊富に手掛けられています。

株式会社金羊社様の企業ホームページリンク

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水性フレキソ印刷事業部ページ

水性フレキソ印刷のコンセプトを簡単にお願いします。

環境に配慮したインキを活用した次世代型凸版印刷です。

水性フレキソ印刷機導入の経緯を教えてください。

機械の導入は7年半前ですが、調査自体は約15年以上前から開始しました。現社長の浅野が、メディアパッケージの衰退を懸念して第2の事業柱を模索しており、その中で衣食住の生活基盤関連、特に食品パッケージで社会貢献をしたいという思いがありました。ただ食品パッケージの大半は軟包装で、グラビア印刷が主流で現在も9割以上を占めるため、新たにグラビア印刷機を導入してもコスト・品質面での参入障壁が非常に大きいと判断しました。
そこで、当時はコスト・品質面でグラビア印刷より劣るという評価だったものの、環境性や作業性に各段の優位性を持ち、かつ新規性の高い水性フレキソ印刷機導入を決めました。

導入後の市場反応はいかがでしたか?

導入直後は市場への広がりは限定的でしたが、導入当時の7年前より、刷版・インキ・機械性能が各段に上がりグラビアの性能に追いつきつつあることで、よりユーザー様に目を向けていただいています。加えて、2年前から注目され始めた脱プラスチックやSDGsの流れにより、「溶剤レスで環境に優しい印刷方式」としてさらにスポットが当たっています。

パッケージ分野では、グラビア印刷が品質的・コスト的に優位性があるとの市場認識ですが、水性フレキソ印刷の現状ははいかがでしょうか?

グラビア印刷はフィルムなどの高平滑な基材に対しては、水性フレキソ印刷よりも高い印刷性能、量産性能を発揮しますが、紙や平滑性が低い基材での印刷を苦手としており、低速で印刷せざるをえないデメリットもあります。一方、水性フレキソ印刷は、グラビア印刷が苦手とする低平滑な基材でも印刷再現性が良好で、その結果、生産性も高くなります。今回検証したユポは、フィルムと比べ低平滑な基材と聞いていました。印刷再現性がグラビア印刷と比較して各段に優れていたのは、ユポとフレキソ印刷の相性が良いからだと考えています。
製版の性能は年々上がっており、今回実施した175Lpiより精細な版を用いることで、さらに高精細な写真デザインの印刷も可能になっています。現在主流のフィルム×グラビア印刷に負けない印刷性が、ユポ×水性フレキソで出せる可能性は今後十分あると思っていますし、近い将来フィルム印刷でも同等レベルにまで発展すると見込んでいます。

テスト印刷物
網点5%印刷

これまで弊社では、水性フレキソ印刷とユポの相性は悪いと考え、品質保証外の印刷方式としていました。昨今フィルムにも高い印刷適性を持つようになったと伺い、今回ユポの実機印刷につながりました。その結果、他のフィルム基材や合成紙系基材よりもユポの方が水性フレキソインキの転移や密着性が高かったことは、弊社にとって新たな気づきでした。貴社にとって、ユポが今までのフィルムや合成紙系基材より優れていた点はどこでしたか?

ユポがインラインコロナ処理をしなくてもインキの密着性がフィルムよりも優れていた点です。
弊社ではフィルム基材はインキの濡れ性を担保するために、処理・未処理フィルム問わずインラインコロナを施した上で印刷を行うのですが、ユポは一切不要でした。
コロナ処理で処理ムラが発生すると、印刷時の色ムラに繋がるのですが、ユポに印刷する際にそのような品質懸念がゼロのため、表刷りにおいても安心して使えることは、加工において大きなメリットと考えています。
また、今回はアクリルインキで実機印刷しましたが、何も問題ありませんでした。アクリルインキは版の洗浄性に優れ、取り扱いがしやすいため、アクリルタイプのインキとマッチングの良い表面を持っているということは、作業効率的にもユポは優れている原紙だと言えます。

弊社でのインキ密着・耐水擦過評価でも、水性フレキソ印刷は、ユポに対し優れた適性を発揮していました。

印刷性能向上により水性フレキソ印刷で展開できるようになった新たな市場・分野はございますか? また、貴社が市場にPRされている水性フレキソ印刷ならではの強みを教えてください。

環境負荷低減が水性フレキソの一番の強みです。食品パッケージには包材に製品写真なども入りますし、ブランドオーナー様の環境意識の高まりが広がりの後押しになっています。これまでシュリンク×グラビアが主だった飲料ラベルについても、多面付け・印刷適性の向上・環境配慮の観点から水性フレキソのロールラベル化への置き換えが進んでいます。
グラビアインキの揮発性有機溶剤は50%~70%含有ですが、水性フレキソインキは5%未満の含有量で、VOCやCO2排出抑制観点から高い優位性を持ち、大量印刷されるパッケージやラベル用途に対し、特に高い効果が期待できることをブランドオーナー様にご提案しています。
水性フレキソ印刷物には認証マークも付与できることから、消費者にも環境配慮取り組みがPRできるのは強みですね。

また、低平滑の基材については、グラビア印刷以上に均一なインキ塗布が可能なことから、コーティング剤塗布などの+αの付加価値機能を追い求める方向にも展開を開始しています。一例ですが、耐水・耐油・抗菌性能の付与が挙げられますね。

ユポはポリプロピレン・無機充填剤を主原料としたフィルム法合成紙ですが独自の3層構成、原紙内のミクロボイド(多孔)構造を持つ紙風合いの原紙です。その特性を活かした用途展開の可能性はありますか?

水性フレキソでユポを印刷できること自体が弊社でも初めての気づきであり、今後の展開はすぐには思いつかず、かつ印刷以外にも品質確認すべき点がありますが、ユポの特性は非常に興味深いと思います。
たとえば、3層構成を工夫し、ヒートシール適性を付与したユポの単層袋で省資源、エコ化等更なる環境的訴求も可能です。ただ、ユポ単層袋でモノマテ、エコ化すると、その分従来の貼合品と比べ、バリア性が低下する傾向がありますので、そこをカバーできるような原紙開発などが進んでいくと面白いですし、前述の水性フレキソでのコーティング技術でカバーできれば展開の幅も更に広げられますね。
また、ユポのミクロボイドを活かした「保温性や断熱性」は飲料ラベルや食品パッケージでの内容物温度維持や、屋外での防寒シートへの応用など様々な用途に展開できる可能性がありそうですね。

イメージ図

2019年から販売を開始したユポグリーンシリーズなど、ユポの環境配慮性能についてはいかがでしょうか?

原紙としてのユポの環境性能についても注目しています。ユポはミクロボイド構造により、使用樹脂量を一般フィルムよりも抑えられることに加えて、バイオマス樹脂含有のユポグリーンシリーズで+αの付加価値の創出など、昨今の環境配慮に適合した製品だと思います。水性フレキソ印刷と組み合わせた市場性は今後調査していきたいですね。
ユポは特殊な原紙構造がゆえに、グラビア印刷よりも凸版のフレキソ印刷に対し、高い印刷適性を持ちますが、パッケージ分野には馴染みが少ない原紙と聞いています。水性フレキソもまだまだ市場的には小さい印刷方式なので、お互いの強みを活かした展開が今後できるよう協業していきたいですね。

ユポ・コーポレーションの担当者からひと言

金羊社様のお力添えのおかげで、このほど水性フレキソ印刷とユポの組み合わせで優れた印刷ができることを新たに発見できました。今後、水性フレキソ印刷とユポそれぞれの付加価値の組み合わせで、これまでにない新たな市場を見出すため、弊社としても引き続き協業していきたいと思っています。本日はお忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただき、どうもありがとうございました。

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本件に関するお問い合わせ

ユポ・コーポレーション 営業本部 営業部 営業1グループ

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