合成紙の歴史

合成紙の歴史

日本では高度成長下での用紙需要の急増、森林資源の将来に対する不安感と石油化学の将来の明るさの点から、1968年5月に科学技術庁(当時)資源調査会の「合成紙産業育成に関する勧告」が出され、関連業界に大きな合成紙ブームをひき起こしました。数十社が研究開発に取り組み、各種の製造方法が考案され、フィルム法合成紙として6社が商業生産を開始しました。

しかしながら初期の合成紙は印刷性能、紙加工性能に弱点があり多様な紙用途への参入を試みながら十分な市場が形成される前に、1973年、1979年の2度の石油危機によって状況は一変し、石油・石油化学製品の大幅な価格上昇と経済の停滞による用紙需要の低迷により合成紙は大きな打撃を受け、多くが撤退を余儀なくされました。

このような変遷を経て、日本をはじめ世界で数社のメーカーによって合成紙の性能向上と合成紙の特性を生かした「ニッチ用途」への展開を中心に合成紙市場の拡大が進められてきました。紙と樹脂フィルム両素材の特徴を併せもつ合成紙は新しい機能を持つものとして多方面に利用される素材に成長し、高級紙の一端を担う素材として広く認知されています。

近年は印刷されることを目的としない特殊な用途にも使用され、合成紙の定義があてはまらない「特殊な樹脂フィルム」に拡大し、新たに参入するメーカーもでてきており、合成紙の更なる発展が期待されています。

合成紙ユポの「開発の歩み」については、こちらをご覧ください。