使いやすさがユポの魅力!
切り絵を用いたアクセサリーを製作している切り絵作家・デザイナーのTANTAN様にユポの良さをお聞きしました

2022年4月11日

ユポとご縁のある方々に、ユポとの出会いのきっかけやどのような場面で活用されているのか、ユポへの期待などをインタビュー。今回は切り絵デザインをファッションに落とし込んだ作品を多数製作されている切り絵作家・デザイナーのTANTAN様にお話を伺いました。

Profile/TANTAN

New York Art Directors Club・京都デザイン協会主催「京都デザイン賞」入選など多数の受賞歴を持つ。2021年春にKIRIEBIJOUで特許を取得。六本木ヒルズ森ビル美術館フリーマーケット、新宿高島屋などに出品・出展し、日韓国交回復50周年記念、日本大使館・国際交流基金後援ミュージカル・コンサートイベント「Scrooge」などでステージアートも担当。
バンタンデザイン研究所 色彩・発想デザイン元講師で、ホンダ技研工業、セコムホームライフ等企業のイベントにてワークショップを開催するなど講師としても活躍。著書に切り絵工房「鳥・花編」「華葩しおり」がある。

オリエンタル美術と日本の伝統文化を組み合わせた独特な世界観が魅力

はじめに、独自の世界観を持つTANTAN様の作品のルーツについて教えてください。

私の作品の世界観には祖父が大きく影響しています。祖父は中近東の古美術収集家で、実際にエジプトに出向いて、骨董品の発掘隊にも参加していました。現地で数百~数千年前の骨董品を収集し、骨董品愛好家に販売していました。

私は、主に日本の伝統的な文化である切り絵の技術を用いて作品を作っています。使う技術や素材は「和」の要素が大きいですが、そこに祖父から受け継いだ「オリエンタルな世界観」を加え、自分らしい作品作りに取り組んでいます。

特に、現在は金箔を使った作品を主に取り扱っています。金箔は独特な輝き方で、貴金属とは全く異なるのが魅力。その独特な輝き方が、アンティーク調・古代調の雰囲気を出すことにつながっていると思います。金は古代エジプトで使われだしたのが始まりと言われていますが、現在は日本の金箔が、世界に誇れる伝統素材としても知られており、パリに作品を持っていった時にも「金箔と言えば日本だよね」と言われました。そんな金を用いた作品は味わい深く、面白いです。

太陽san!

パリのMaison & Objet への出店等海外でもご活躍されていますが、現在の活動について教えてください。

海外に進出するつもりで準備していたのですが、そこでコロナ禍に…。海外展開の流れを商談先と話しているのですが、いつになることやら…という感じです。今は日本での活動に集中しつつ、今後コロナが落ち着いて海外に行けるようになったら、世界に向けて作品を発信できるように水面下で準備しています。

海外でのご経験で印象に残っていることはありますか?

高校時代にアメリカに留学して、カルチャーショックを受けました。日本だと「絵を描くことが得意」という自分なりの強みがあっても、仕事に直結させるのは難しいですよね。一方、アメリカだとかなりフランクに「絵が上手いね、美大に行くんだよね、アーティストになるんだよね」と躊躇せず言ってくれるので、自分の進路について何も疑問に思いませんでした。留学していた時、学校内の寮で似顔絵を描いてほしいという人にタダで絵を描いていたら、先生に「お金を取りなさい」と言われて衝撃を受けたんです。その人の特徴や得意としていることにきちんと価値を見出してくれる文化がすごくいいなと思いました。アートの道に進む、背中を押してくれた経験でした。

ユポとの出会いで作品の幅が広がった

ユポでKIRIEBIJOUを作ろうと思ったきっかけは何でしょうか。

5年前の展示で初めて切り絵に関連する雑貨を製作し販売しました。その中でも、アクセサリーが一番売れたのが興味深いと思ったんです。当時は、普通の紙よりもすこし丈夫な紙でアクセサリーを作っていたのですが、アクセサリーを作るのにもっと適した紙を探そうと思って。その中で、デザイン文具屋さんに「水に濡れても大丈夫な紙はありますか」と尋ねたときにユポを紹介してもらいました。当初は、箔を貼らず、ユポの紙としての美しさをそのまま活かして、素材そのままで制作していたんですよ。「紙なのにすごい、面白い」と、かなり好評でした。その後、百貨店に展開する際に「素材をもっとグレードアップしたい」と考え、金箔との組み合わせを思いつきました。

月と太陽 (白色のパーツにユポが使われています。)
KIRIEBIJOU ブーケ

KIRIEBIJOUは、特許も取られていると伺いました。

和紙を漆で固めて、箔をつけるという手法は昔からあったものの、紙を繊細な透かし模様に加工して漆を塗り、金箔を貼るという発想はありませんでした。そこで特許を申請したところ、2021年にKIRIEBIJOUの特許が認められました。そのポイントは、合成紙である「ユポ」と金箔の組み合わせ。和紙のような伝統的なものではないものと伝統的な素材である漆や金箔との融合は今までにない発想でした。また、和紙は繊維が多く細かい細工が施せないので、細かい透かし彫りは現代の合成紙の方が向いています。合成紙のような現代的な素材と、切り絵のような伝統的な技術の組み合わせも評価につながったのだと思います。

ユポのどのような点がKIRIEBIJOUの制作に適していますか?

ユポは破れにくいのが特長ですが、デザインナイフを使うとサクサク切ることができます。普通の紙と違って繊維がなく、しかも薄いので切りやすく、細かい作業には向いています。その上、いろいろな素材と相性が良い。万能な紙だなと思います。現在は、アクセサリーだけではなく、大きい作品やイベントで作品を展示するためのディスプレイにもユポを使うようになりました。

切り絵のキャンドルシェイド

ユポを使い始めて作品作りに変化はありましたか?

かなり可能性が広がって、今までに挑戦したことのない新たな分野に挑戦できるようになりました。金箔をはじめとしたいろいろな素材とユポの組み合わせを試すことで、自分の作品に表現の幅や深みが出るようになったと思います。当初は、1枚の紙を細かく切り抜いて大きな作品を作ることが多かったのですが、アートというよりもどちらかというと工芸、職人技に近かった。ユポと出会ったことで、他の素材と組み合わせて単なる切り絵から飛びぬけてアート・デザインとしての在り方を追求していけるようになりました。

「おすすめしたいけどおすすめしたくない…」。独り占めしたくなるほどの魅力

アートの分野で、ユポはどのような活用ができるでしょうか。

ユポの素材感はアートにとても向いていると思います。手法が異なる方には勧めたいですね。水にも強いし、質感もいい。例えば、デザイン印刷をして使うような面白い使い方ができると思います。本格的に使えば面白い、まだまだ可能性を秘めている素材だと思います。特にディスプレイ仕様のアートに活かしやすいのではないでしょうか。

一方であまり知られたくない、知ってほしいけど独り占めしたいという気持ちもあります。昔からユポの魅力を知って作品に使ってきた立場としては、あんまり広まってほしくないという気持ちもありますね(笑)。

TANTAN様ご自身は「今後ユポをこんな風に使ってみたい」と思うことはありますか?

ユポに直接印刷して作品を作ってみたいです。以前は、ファッション誌を切り抜いてアクセサリー作品を作っていました。今度は印刷したユポを用いた切り絵をやってみたいと思います。ユポにさまざまな柄を印刷して用いれば今の作品とは一味違うアクセサリーが生まれるかもしれません。今後も、いろんな手法を試してみたいと思っています。

■Atelier TanTan

■KIRIEBIJOU

  • 「ユポ」は株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。